「この店、スタッフ多いな~」
先日、美容院に行った時のこと、ある光景を目にして不思議に思いました。
通常、美容院と言えば人を雇えば雇うほど固定費が上がり、よほど流行っている店でもない限り、経営は難しくなるはずです。
営業時間が9:00~20:00だとした場合、1日の時間は11時間。
1人1時間のペースでカットしても11名と1人の美容師が1日で稼げる金額には上限があります。
また、常に予約で埋まっている美容師でない限り、稼働率100%を実現することは難しく、必ず空き時間は出てくると思います。
しかし、空き時間が発生しても人件費は変わらないため、できるだけ少人数で経営することが求められます。
そんな経済環境の中、専任の受付スタッフを複数名おいている美容室があったのです。
「ただでさえ閑散期の固定費負担が重くなるのに、こんなにスタッフを抱えて大丈夫か?」
ふと、いらぬ心配をしていたのです。
そんなことを考えていると、美容師が何気に話しかけてきました。
美容師:「今日は結構暇なんですよね~」
そう話しかけられた私は思わず、
私:「ここってスタッフの数が、すごい多いですよね」
そう質問すると、
美容師:「そうですね。スタッフは多いですが、ほとんどパートですよ」
私:「え?そうなんですか?」
美容師:「はい、私は昔、美容師だったんですけど、子供ができて辞めていたんです。
でもここは短時間でも働けるので」
私:「予約が入ったら働くみたいな感じですか?」
美容師:「結構、融通は効きます」
この話を聞いた時に、美容院業界もなかなか考えたな、と思いました。
このビジネスのあり方は、ウーバーイーツの美容室版。
髪を切る顧客と短時間で働きたい美容師をマッチングさせ、固定費となる美容師の人件費を変動費化させているのだと理解したのです。
最も大きな固定費が変動費化すれば、経営は楽になります。
また、パートの時間が合わなければ、予約で埋まっていることにしてしまえば良いだけ。
このモデルを聞いた時に、ゆくゆくは美容室の無人店舗ができるのではないかとまで想像しました。
美容室は単なる器具や道具を置いている箱。
そしてマッチングアプリで顧客と美容師をマッチングする。
マッチングされた双方は、指定の美容室に出向きカットする。
美容師も店を持って独立するというより、個人事業主として技術だけを売り物にする。
そんな構想が実現すれば、かなりおもしろいと考えたのです。
■異業種の成功事例をパクる
このモデルを製造業に置き換えるとどうでしょうか?
製造業と言えば、人手不足は喫緊の課題。
そんな中、技術者を融通するモデルができ上ればどうだろうか。
派遣社員ではなく、技術を持った正社員が閑散期には他の繁忙期の会社で働くなど。
会社間での行き来が難しいのであれば、まずは部署間の枠を超えた多能工化を進めるのはどうだろうか?
製造、営業、総務などをジョブローテーションするなど。
異業種の成功事例は多くの気づきを与えます。
この事例をもとに人のあり方を考えてみる・・・
そんな時間が何かしらの課題解決につながればと思います。
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